SNS担当者だけが頑張る発信は、いつか苦しくなる
中小企業でSNSを運用していると、どうしても担当者一人に負担が集まりがちです。
「今日の投稿、何を書こう」
「写真を撮りに行かないと」
「文章も考えないと」
「反応が悪かったらどうしよう」
そんなことを毎日考えながら、投稿を続けているSNS担当者や広報担当者は多いと思います。
最初はやる気があって始めたSNSでも、毎日のようにネタを考え、写真を撮り、文章を作り、投稿し、反応を見る。この流れを一人で続けるのは、なかなか大変です。
そして投稿が止まってしまうと、ついこう思ってしまいます。
「担当者の力不足なのではないか」
「やる気が足りないのではないか」
「センスがないのではないか」
でも、僕はそうではないと思っています。
SNSが続かない原因は、担当者の能力だけではありません。
むしろ多くの場合、会社の中にSNSを続けるための仕組みがないことが原因です。
SNSは、担当者一人の頑張りだけで成果を出すものではありません。
会社の日常、現場の空気、社員の表情、お客様との関係、地域とのつながり。
そうしたものを発信していくからこそ、中小企業らしい温かさや信頼が伝わっていきます。
だからこそ、SNS担当者を一人にしてはいけないのです。
続かない原因は、担当者ではなく仕組みにある
SNSで成果を出したいと思っている経営者ほど、「もっと投稿してほしい」「もっと反応を増やしてほしい」と考えるかもしれません。
もちろん、その気持ちはよく分かります。
SNSは採用にも、広報にも、会社の信頼づくりにもつながります。うまく活用できれば、大きな広告費をかけなくても、会社の魅力を届けることができます。
でも、そのためには担当者に任せきりにするのではなく、会社全体でSNSを育てる意識が必要です。
たとえば現場の情報。
SNS担当者が毎日すべての現場を見に行くことはできません。
現場で起きている小さな出来事、社員の頑張り、お客様とのやり取り、安全への工夫、地域の方との会話。そうした情報は、現場にいる人が一番よく知っています。
だからこそ、現場から情報が自然に集まる仕組みが大切です。
「今日こんな作業をしました」
「こんな工夫をしました」
「若手が頑張っていました」
「地域の方からこんな声をいただきました」
こうした小さな情報がSNSのネタになります。
また、社内でネタを共有する場をつくることも大事です。
LINEグループでも、チャットツールでも、共有フォルダでもかまいません。
写真や一言メモを気軽に送れる場所があるだけで、SNS担当者の負担は大きく変わります。
さらに、投稿の型を作ることも有効です。
毎回ゼロから文章を考えるのは大変です。でも、型があれば投稿しやすくなります。
たとえば、
「今日の現場紹介」
「社員の頑張り紹介」
「安全への取り組み」
「地域とのつながり」
「会社の日常」
「仕事の裏側」
「若手社員の成長」
このように投稿のテーマを決めておくと、ネタを探しやすくなります。
文章も、ある程度の流れを決めておけば、担当者が毎回悩みすぎずに発信できます。
大事なのは、SNSを担当者の個人技にしないことです。
センスや気合いに頼るのではなく、情報が集まり、ネタが共有され、投稿しやすい型がある。そんな仕組みがあるからこそ、SNSは続いていきます。
一人で頑張るSNSから、みんなで育てるSNSへ
中小企業のSNSで本当に大切なのは、きれいな写真や上手な文章だけではありません。
もちろん見やすさや分かりやすさは大切です。でも、それ以上に伝わるのは、会社の空気です。
この会社はどんな人たちが働いているのか。
どんな思いで仕事をしているのか。
お客様や地域とどう向き合っているのか。
社員を大切にしている会社なのか。
安心して任せられる会社なのか。
そうしたことは、日々の発信の積み重ねで伝わっていきます。
そして、その発信を続けるためには、SNS担当者だけでなく、社内みんなの協力が必要です。
現場の人が写真を送る。
管理職が部下の頑張りを伝える。
事務所の人が会社の日常を共有する。
社長が会社の考えや思いを言葉にする。
SNS担当者がそれを整理し、発信する。
この流れができると、SNSは一人で頑張るものではなく、みんなで育てるものになります。
そして不思議なことに、SNSのために社内の情報を集めるようになると、社内のコミュニケーションも増えていきます。
「あの現場、頑張っているね」
「あの若手、成長しているね」
「この取り組み、もっと知ってもらいたいね」
そんな会話が生まれます。
SNSは外に向けた発信ですが、実は社内をつなぐ力もあります。社員の頑張りに光を当てることで、働く人のやりがいや誇りにもつながります。
だから経営者は、SNS担当者に「もっと頑張って」と言うだけではなく、「どうしたら一人で抱え込まずに済むか」を考えることが大切です。
SNS担当者が一人で悩み続ける会社では、発信は続きません。
でも、現場から情報が集まり、社内でネタを共有し、投稿の型があり、みんなで協力する会社なら、SNSは続いていきます。
中小企業のSNSは、会社の人柄を伝える大切な場所です。
一人で頑張るSNSから、みんなで育てるSNSへ。
その仕組みづくりが、これからの中小企業の広報にとって、とても大切だと思います。