入社1年目の社員が、会社見学で説明する側に
この夏、江口組の会社見学で、うれしい取り組みがありました。
入社1年目の社員が自分で説明資料を作り、見学に来てくれた方に現場の仕事について説明を担当したのです。
入社してまだ数か月。自分自身が仕事を覚えている途中でもあります。
その中で、今度は人に伝える側になる。
普段の仕事を覚えることと、初めて現場に来た人に分かりやすく説明することは、また違う難しさがあると思います。
何を伝えれば、土木の仕事に興味を持ってもらえるのか。自分が当たり前に使っている言葉も、初めて聞く人には分からないかもしれません。
資料をつくり、人に伝える役割を担うことも、仕事を覚えていく大切な経験の一つです。
こうした若手社員の取り組みを見ていると、改めて考えることがあります。
仕事を覚える速さは、人それぞれ。だからこそ、周りと比べるのではなく、その人自身の成長に目を向けたい。
今日は、そんな江口組の人材育成について書いてみようと思います。
「任せる」「教える」「見守る」は、どれか一つでは足りない
新入社員が仕事を覚えていく姿を見ていると、同じ時期に入社しても、成長の仕方は一人ひとり違うと感じます。
初めての仕事にも積極的に挑戦する人。最初は慎重でも、経験を重ねるうちに自信をつけていく人。
人前で話すことが得意な人もいれば、現場で一つひとつの作業を丁寧に覚える人もいます。
どちらが優れている、という話ではありません。
得意なことも、つまずくところも違う。だから、全員に同じ教え方をすればいいわけではないと思っています。
人材育成を考えるとき、私は「任せる」「教える」「見守る」の三つが大切だと感じています。
まず、任せること。
最初から何でもできる人はいません。それでも、いつまでも先輩がすべてをやっていたら、若手が自分で考え、挑戦する機会はなかなか生まれません。
今回の会社見学のように、資料づくりや説明を担当することも、仕事の幅を広げる機会になります。
次に、教えること。
「任せたから、あとは自分で考えて」では、困ってしまうこともあります。
何のためにその仕事をするのか。どこに気をつける必要があるのか。分からないときは、誰に相談すればいいのか。
そうしたことを伝えるのは、任せる側の役割です。
特に土木の現場では、安全に関わることを「自分で経験して覚えて」では済ませられません。必要な知識や手順は、きちんと教え、確認することが欠かせません。
そして、見守ること。
仕事を任せた後、つい途中で口を出したくなることがあります。
「こうした方が早いのに」「自分ならこうするのに」。
社長としても、そんな気持ちになることがあります。
でも、自分のやり方をすぐに教える前に、本人がどう考えているのかを聞いてみる。少し時間がかかっても、自分でやってみる機会を大切にする。
もちろん、困っているのに放っておくことが「見守る」ではありません。必要なときには声を掛け、相談しながら進めていく。
そのバランスが難しいところであり、教える側も学び続けなければいけないところだと思います。
昨日の自分より、できることが一つ増えたら
若手社員の成長を考えるとき、周りと比べるのは簡単です。
「あの人はもうできるのに」「同じ入社年なのに」。
でも、そんな比べ方ばかりしていたら、その人が少しずつ積み重ねてきた努力を見逃してしまうかもしれません。
以前は分からなかったことが、今日は分かるようになった。
先輩に聞きながら進めていた仕事を、少しずつ自分でできるようになった。
最初は緊張していた説明も、経験を重ねるうちに、自分の言葉で伝えられるようになるかもしれません。
そうした変化に、周りの大人が気づける会社でありたいと思っています。
江口組でも、若手社員に仕事を任せる機会を増やしながら、教える側の先輩や上司も一緒に成長していきたい。
仕事を覚える速さが違うからこそ、一人ひとりの得意なことや、今できるようになったことを見ていく。
そして、できるようになったことがあれば、きちんと言葉にして伝える。
「前よりできるようになったね」
そのひと言が、次の仕事に挑戦する自信につながることもあると思います。
若手が成長する速さを競うのではなく、一人ひとりが安心して挑戦を続けられる会社にすること。
そのために社長である私も、任せ方、教え方、見守り方を考え続けていきたいです。
今日も江口組のどこかで、昨日はできなかったことが一つ、できるようになっているかもしれません。
そんな小さな成長を見逃さず、社員と一緒に喜べる社長でありたいですね。