SNSは広報担当者だけの仕事ではない
中小企業がSNSを始めるとき、多くの場合、最初は広報担当者や一部の社員が中心になります。
「会社の情報を発信しよう」
「採用につなげよう」
「認知度を高めよう」
そう考えて、Instagram、X、Facebook、YouTubeなどを活用し始める会社も多いと思います。
もちろん、広報担当者が中心になって発信することは大切です。会社として伝えたいことを整理し、写真を撮り、文章を考え、継続して投稿する。
それは簡単なことではありません。むしろ、とても大事な仕事です。
でも、SNSを本当に会社の力にしていこうと思うなら、広報担当者だけで頑張る形には限界があります。
なぜなら、会社の魅力は、広報担当者の机の上だけにあるわけではないからです。
現場には現場の魅力があります。
事務所には事務所の気づきがあります。
若手には若手の新鮮な目線があります。
ベテランにはベテランだからこそ語れる経験があります。
それぞれの社員が日々の仕事の中で見ている景色、感じていること、当たり前だと思っていること。
その一つひとつが、実は会社にとって大切な魅力です。
SNSは、会社のきれいな部分だけを見せる場所ではありません。会社の人柄や空気感、仕事への姿勢を伝える場所です。
だからこそ、社員を巻き込むことが大事なのです。
社員の視点が集まると、会社の魅力は立体的になる
広報担当者だけでSNSを続けていると、どうしても発信の視点が偏りやすくなります。
もちろん、広報担当者だからこそ見える視点もあります。
でも、現場で働いている人にしか分からない苦労や達成感があります。
お客様と直接やり取りする人だからこそ感じる喜びがあります。事務所で支えている人だからこそ気づける会社の良さがあります。
たとえば、現場の社員が撮った一枚の写真。
重機が動いている迫力ある場面。
工事が少しずつ進んでいく様子。
安全確認をしている真剣な表情。
休憩中に見せるほっとした笑顔。
こうした写真には、広報用に整えられた写真とは違うリアルがあります。
また、事務所の社員が気づいた小さなエピソードも大切です。
「現場から戻ってきた社員が、疲れているのに笑顔で挨拶してくれた」
「お客様からありがとうと言われて、みんなで喜んだ」
「若手が少しずつ成長している姿が嬉しかった」
こうした日常の中にこそ、会社の文化が表れます。
SNSで成果を出したいと考える経営者の方に、ぜひ伝えたいことがあります。
会社の魅力は、社長や広報担当者だけがつくるものではありません。社員一人ひとりの仕事ぶり、言葉、姿勢、表情の中にあります。
その視点が集まると、会社の魅力は一気に立体的になります。
「この会社は楽しそうだな」
「社員さん同士の関係がよさそうだな」
「仕事に誇りを持っている会社なんだな」
「ここなら安心してお願いできそうだな」
「ここで働いてみたいな」
そう感じてもらえる発信になります。
中小企業のSNSで大切なのは、大企業のように完璧な広告をつくることではありません。自分たちらしさを、日々の仕事の中から見つけて伝えることです。
そのためには、社員を巻き込むことが欠かせません。
ただし、いきなり「全員投稿してください」と言っても、うまくはいきません。SNSに慣れていない社員にとって、発信は少し怖いものです。
「何を書けばいいか分からない」
「変なことを書いたらどうしよう」
「自分の投稿なんて誰も見ないのでは」
そう感じるのは自然なことです。
だから最初は、投稿してもらうのではなく、情報をもらうところから始めるといいと思います。
写真を1枚送ってもらう。
現場であった出来事を一言教えてもらう。
お客様から言われて嬉しかった言葉を共有してもらう。
仕事中に感じた小さな気づきを聞かせてもらう。
それだけでも十分です。
広報担当者は、それを受け取って発信に変える。
社員は「自分の見ていたことが会社の発信になるんだ」と感じる。そこから少しずつ、SNSへの関心が生まれていきます。
SNSは会社の空気を変え、和の力を高める
社員を巻き込むSNSの良さは、外に向けた発信力が高まることだけではありません。
実は、社内の空気も変わっていきます。
誰かの仕事がSNSで紹介される。
現場の頑張りにコメントがつく。
お客様や地域の方から「いい会社ですね」と言ってもらえる。
就活生から「投稿を見ています」と声をかけられる。
そうした反応は、社員にとって大きな励みになります。
普段は当たり前のようにやっている仕事でも、誰かに見てもらい、認めてもらうことで、自分たちの仕事の価値を再確認できます。
「自分たちの仕事は、ちゃんと誰かの役に立っている」
「会社の魅力は、自分たちの毎日の中にある」
「自分も会社の発信に関わっている」
そう思えるようになると、社員の意識も少しずつ変わります。
SNSは、外に向けた広報であると同時に、社内に向けた広報でもあります。
社員同士が、お互いの仕事を知るきっかけになる。
普段あまり関わらない部署の頑張りを知るきっかけになる。
若手の成長をみんなで喜ぶきっかけになる。
ベテランの技術や姿勢に光を当てるきっかけになる。
それは、会社の中の理解と信頼を深めることにつながります。
江口組が大切にしている「和の力」も、こうした日々の積み重ねから生まれるものだと思っています。
和の力とは、ただ仲がいいということだけではありません。
お互いの仕事を知り、認め合い、支え合い、同じ方向を向いて進んでいく力です。
SNSは、そのきっかけをつくることができます。
社員を巻き込むSNSは、単なる投稿数アップのためではありません。会社の魅力をみんなで見つけ、みんなで伝え、みんなで育てていく活動です。
広報担当者だけが頑張るSNSから、社員みんなで会社の魅力を届けるSNSへ。
それができるようになると、発信の内容は変わります。
見てくれる人の反応も変わります。
そして何より、会社の空気が変わります。
SNSで成果を出したい経営者の方に伝えたいのは、テクニックだけを追いかける前に、まず社内にある魅力を見つめ直してほしいということです。
社員の中に、発信のネタはたくさんあります。
現場の中に、会社の価値はたくさんあります。
日常の中に、信頼につながる物語はたくさんあります。
社員を巻き込むSNSは、会社の空気を変える。
そして、その空気は必ず、画面の向こう側にも伝わっていきます。