人が来てくれることが、奇跡になった

4月、江口組に新入社員が入ってきます。

人手不足と言われる時代のなかで、「この会社で頑張ってみよう」と若い人が一歩を踏み出してくれる。

経営者としても、現場を預かる者としても、本当にありがたいことです。

ただ、この“ありがたさ”を噛みしめながら、ふと思うことがあります。

僕がこの業界に飛び込んだ20年以上前は、こんな空気ではありませんでした。

土木を志す人はもっと多く、建設業界には活気があった。

なぜ、ここまで状況が変わってしまったのか。最近、改めて考えるようになりました。

「土木って未来あるんですか?」と言われた日

僕が一つの転機だと感じているのは、「コンクリートから人へ」という言葉を掲げた政権が誕生した頃です。

そこから公共投資が減り、仕事が減り、厳しい経営を迫られた企業は少なくありませんでした。

地元の建設業協会でも会員数が以前の半数ほどになったと感じるほど、業界そのものが縮んでいった実感があります。

しかし、痛手は“仕事が減ったこと”だけではありませんでした。

それ以上に深刻だったのは、社会に広がった「土木の悪いイメージ」だと思っています。

採用活動をしていたとき、僕は就活生からこんな言葉を投げかけられました。

「土木って未来あるんですか?」
「親が、土木の仕事だけはやめとけって言うんです」

衝撃でした。

土木を学んでいる学生が、土木の未来を疑っている。

親世代の不安が、そのまま若者の進路を止めてしまう。

イメージが、現実を動かしてしまう瞬間でした。

その後、大学でも「土木学科」という名前が消えていきました。

都市創造学科、環境都市学科・・・

内容は土木そのものなのに、“土木”という言葉を外した学科名が増えた。

土木の価値が変わったわけではなく、土木という言葉が誤解されてしまった結果だと僕は感じています。

そしてここで、忘れてはいけないことがあります。

マスコミや政治だけが悪い、ではない。土木側にも問題があった。

それは、僕たちが「伝えてこなかった」ことです。

土木の仕事は、完成したら“当たり前”になります。

道路が通れて当たり前。橋が渡れて当たり前。川があふれずに暮らせて当たり前。

当たり前をつくる仕事ほど、黙っていると価値が伝わらない。伝わらないまま年月が過ぎると、外から貼られたイメージだけが残ってしまう。

ここに、僕たちの反省があります。

誇りを“翻訳”して、憧れの職業へ

だから江口組は、土木広報を頑張っています。

土木の魅力を伝えることは、使命だと思っています。

イメージアップを図り、「ここで頑張りたい」という若者を発掘すること。これは採用のためだけではありません。

地域の皆さんに、土木の仕事を正しく知っていただくためでもあります。

そして今、土木の必要性は、以前にも増して明確です。

インフラ構造物は老朽化が進み、大きな災害による被害を防ぐために、土木の力が欠かせません。

さらに石川県では、能登の復旧・復興のために土木が必須です。

暮らしを取り戻し、未来へつなぐために、現場で動く力が必要です。

土木は、ただコンクリートを扱う仕事ではありません。
人の暮らしを守り、地域の未来をつくる仕事です。

工事は時に、ご不便をおかけすることもあります。それでも私たちは、完成した先の“安心”まで見据えて仕事をしています。

そして若い世代の皆さんへ。地元を守る仕事がしたい、人の役に立つ仕事がしたい。

そう思うなら、土木という選択肢を思い出してください。

土木が「きつい仕事」ではなく、憧れられる職業になるために。

江口組は、誇りを言葉にして、これからも発信を続けます。

 

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